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第37回:中堅・中小企業が生き残るための戦略定石③

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【ポートフォリオ特性による戦略定石】

前回、市場地位による戦略定石をご解説しました。定石とは、王道や定番のことです。今回は、自社が複数の事業を抱えているケースで、それぞれの事業の優先順位や基本戦略を決定するポートフォリオ特性による戦略定石をお伝えします。

「ポートフォリオ・マネジメント」と呼ばれる分析手法は、大きく分けるとボストン・コンサルティンググループ、マッキンゼー、ADLが開発した3つのパターンに分けられ、それぞれ特徴が存在します。

しかし、それぞれ細かく見ていくとかなり専門的になりすぎる懸念があります。ビジネススクールで学ぶような話や学術的な話をお伝えすることは、本来の目的から離れてしまうので、中堅・中小企業が使いやすい実践的なHERS流分析手法を解説します。

まず、市場成長率(事業の成熟度)と自社のマーケットシェアの2つの視点で、事業を捉えます。その組み合わせで、4つのパターンに分類されます。このパターンそれぞれに戦略定石があります。

①高成長率(成長期) X 低シェア:「要注意」
導入期〜成長前期は大きな投資を必要とするので、シェアが低いと赤字が常態化するリスクがあります。そのため、競争力を強化してシェアを拡大しコストを吸収しきれるようにするか、コストカットや市場の絞込みが定石となります。

②高成長率(成長期) X 高シェア:「体力勝負」
シェアが大きいため売上は大きいですが、導入期〜成長前期は必要なコストも大きいため、利益はあげにくい状況にあります。そのためコストを負担し続ける企業体力があるかどうかがポイントになります。無駄なコストカット、資金調達、投資の選別などを検討することが定石です。

③低成長率(成熟期) X 低シェア:「撤退検討」
早期撤退を検討することが緊急課題になります。シェアが低い状態で成熟期に入ると売上・利益が伸びず、赤字が常態化する可能性が高いためです。早期に撤退するか、新たなS字カーブを創出することが緊急課題です。

④低成長率(成熟期) X 高シェア:「プロフィットセンター」
成熟期に入ると投資額が減少するので、利益が最大になります。しかし、時間の経過と共に市場が衰退していくので、利益を他の有望な事業や商品・サービスに投資して、次世代のプロフィットセンターに育成していくか、当該事業の新たなS字カーブを創出する必要があります。

この戦略定石は、あくまでもガイドラインとして捉えるとよいでしょう。この考え方は、キャッシュ・フローと密接に関わるため、あまり投資を必要としない場合や、スケールメリットが生まれにくい事業の場合は、当てはまらないケースがありますので、注意深い検討なしに闇雲に定石を踏襲することはお薦めしません。

ただし、事業が成熟期ないし衰退期にある場合は、無策のまま進めれば早晩行き詰まりますので、利益が生まれているうちに定石に則って手を打つ必要があります。

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